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20140926

法を、必要としている人たちがつくることが可能な社会に

親川裕子「独立を発明する(3)」『沖縄タイムス』2014年9月26日18面。

 最近ニューヨークで開催された国連の先住民族世界会議で、糸数慶子さんがスピーチしたことが報道されていた。約1ヶ月前、ジュネーブの人種差別撤廃委員会での訴えを行ったばかりで、これは先住民の権利という枠組みから沖縄の基地問題を主張する一環した潮流となっている。
 ジュネーブの差別撤廃委員会ではその後、8月29日に最終見解が採択され、日本政府への勧告も含まれていた(外務省のサイトはまだアップデートされていない、IMADRで仮訳文書が公開されている)。沖縄についての箇所だけ末尾に引用しておくことにする。
 糸数さんは「辺野古・普天間・高江」の名を具体的に挙げて、軍事基地の集中について、沖縄に対する人権侵害という観点から訴えたのだが、先の人種差別撤廃委員会勧告においてこの点は明記されなかった。そのことがずっと気に懸かっていた。
 今日のタイムスに掲載された親川裕子さんの論考は、このことを批判的に考える上で不可欠な論点を押さえているのではないだろうか。特に2005-06年のドゥドゥ・ディエン報告の先進性・画期性がきちんと説明されていて、必読の文章だと思う。2014年の人種差別撤廃委員会はなぜ基地問題に言及しなかったのか。じっくり読んで考えたい。

琉球・沖縄の状況
21.委員会は、ユネスコが琉球・沖縄人の固有の民族性、歴史、文化並びに伝統を認識しているにもかかわらず、締約国が琉球・沖縄人を先住民族として認識していないという姿勢に懸念を表明する。沖縄に関して、沖縄振興特別措置法と沖縄振興計画に基づき、締約国により講じられ、実施されている措置を留意する一方で、委員会は、彼/彼女らの権利の保護に関して、琉球の代表者と協議するために、十分な措置が講じられていないことに懸念を表明する。委員会はまた、消滅の危機にある琉球諸語を保護し、促進することが十分に行われていない旨の情報および教科書が琉球民族の歴史と文化を十分に反映していない旨の情報に懸念を表明する(第5条)。
 委員会は、締約国がその見解を見直し、琉球人を先住民族として認めることを検討し、彼/彼女らの権利を保護するための具体的な措置を講じることを勧告する。委員会はまた、締約国が、彼らの権利の促進と保護に関連する問題について、琉球の代表者との協議を向上させることを勧告する。委員会はさらに、締約国が、琉球の言語を消滅の危機から保護するために講じられる措置の実施を迅速化し、琉球民族が自身の言語で教育を受けること促進し、学校のカリキュラムで使用される教科書のなかにこれらの者の歴史と文化を含めることを勧告する。 

知事候補者が「たかえをすくえ」を公約に含めるべき沢山の理由を挙げてみた。

某日の高江N1テントで、目の覚めるような美しく青いイトトンボに遭遇しました。が・・・。えーん、アキノ隊員のようにはいかないものです。汚いロープやらタオルのほうにフォーカスしてしまっている・・・。でも正直者にはきっと見えるハズ。トンボ目モノサシトンボ科リュウキュウルリモントンボという名前のトンボだったようです。モノサシかー。

さて、高江はこんなに素晴らしい自然の宝庫である、と主張するためのイラストレーションにさっそく失敗してしまったわけですが。本題。高江を守れ!と知事選挙の候補者に公約してもらおうという要請アクション住民の会の皆さんの気迫のこもる要請文が、blogにアップされたようです。そしてそして、ハガキ版も登場しましたね。週末は、これを沢山プリントして、人の集まるところに持って行って、その場で書いて貰って投函!というのに使えそう。

 さて。さて。合意してない面々も、各自で各地からアクションしたよーとの報告あり。約束を取り付けもしないで後から騙されたなんて言いたくないからね。ピープルは政党の駆け引きやゲームとは違う倫理と政治を実践するのだ。

辺野古の埋立承認は撤回。
高江の着陸帯工事は中止。

二大公約ってことで、夜露死苦したいぜ!

と言われても、何を書こうかσ(‥)? と迷う人のために要請例文、挙げてみます。でも、まあ、こういうのは形式や作戦じゃなくて、自由なじぶんの言葉とスタイルだと思う。そして具体的に実行することだと思います。つぶやきや「いいね!」やまとめサイトを眺めるのではない、紙とペンを使うやりかた。ハガキと切手を使うやりかた。一票を投じる前に、一石を投じるやりかた。



「北部訓練場で建設中の着陸帯工事を即時中止し、建設を認めないと公約して下さい」の要請例

 北部訓練場の一部面積返還の条件としてヘリコプター着陸帯移設が決定されたのは、現在の辺野古基地建設の発端となったのと同じSACO合意でのことです。その後の経過に明らかなように、「負担軽減」の虚偽、オスプレイ配備の隠蔽、亜熱帯の生物多様性の深刻な破壊、困窮する自治体財政につけ込んだ地元への受入要請と住民の分断など、名護市辺野古と同じことが、東村高江でも起こっています。
 抗議する県民を弾圧し萎縮させることを目的に国が裁判を悪用するSLAPP訴訟という手法が用いられた点、計画された4地区6個のうち、1地区2個の着陸帯がすでに完成しオスプレイ訓練のための「先行提供」が囁かれている点で、高江は、より緊急な政治的判断を必要としている場所であるとも言えます。
 辺野古の基地建設に反対する多くの県民は、北部訓練場の着陸帯建設にも同じく反対し、着陸帯の押し付けを許さないと非暴力直接行動で座り込む高江の住民を強く支持しています。なぜなら、それこそが論理的に一貫し矛盾のない態度であるからです。施政権返還を目前に控えた1970年代末の実弾演習阻止のときも、1980年代に当時の最新鋭機と言われたハリアーの着陸帯建設を阻止したときも、やんばるの森を守ったのは、保革や政治思想の違いを超えて立ち向かったこの島の先輩たちの強い意志でした。このような自決権の行使の歴史もまた、生物多様性と同様に守り育てるべき沖縄の財産です。今日、今度は私たちが共にやんばるの森を守ることで、この沖縄のじんぶんを未来の世代に受け継ぎましょう。
 県知事選挙において、辺野古の基地建設を認めず、オスプレイの配備に反対するのと同じ論理で、北部訓練場の着陸帯建設にも反対する、沖縄のじんぶんに照らして曇り無く筋の通った公約を掲げる候補者に対して、私たちの大切な一票を投じたいと願っています。



【沖縄県知事に可能なこととして、例えば以下のようなことが考えられます】
1)着陸帯の工事に関する県の判断責任の行使
 沖縄県はこれまで「北部訓練場の過半の返還は負担軽減につながるので、着陸帯建設を進める」と説明してきました。「過半の返還は負担軽減」という認識は、SACO合意以来、日本政府と防衛局が沖縄への基地建設押しつけのために用いた表現でした。沖縄県としてこの認識を改め、押し付けられた合意を、独自の検証によって再評価することが出来ます。
 日本政府は、「地元の合意」を根拠に正当性を主張している[1]のであり、沖縄県としての判断を表明することは、自治体としての責任の行使となるからです。また、少なくとも、高江区の反対決議、大宜見村議会の全会一致の反対決議「東村高江区のヘリパッド建設に反対し、北部訓練場の無条件返還を求める意見書」(2010610日)が存在しています。
 これ以上のだれが、「地元」の声を代表すべきなのでしょうか。水源地、森林・生物多様性資源として、沖縄島全域、沖縄県全体が、北部やんばる地域に依存しているのであり、沖縄県レベルでの判断責任があり、これを行使すべきことは言を俟たないでしょう。

2MV22オスプレイ配備に反対するが使用設備の建設を推進する矛盾の解消
 MV22オスプレイが、全県を挙げた反対にも拘わらず強行配備されました。オスプレイに反対しながら、その設備を容認するのは矛盾であり、これは解消されなければなりません。同機が使用する米軍施設とその建設に関する容認・同意・認可を見直し、再検討するため現在進行中の工事を差し止めるよう行動するのは、当然の帰結となります。
 米海兵隊が実施した環境レビュー[2]によれば、最も集落に近接しているN4地区(現在すでにある大規模着陸帯LZ17に重なり、建設工事が完了した二つの着陸帯)は、Terrain Flight (地形飛行あるいは匍匐飛行)訓練ルートの拠点となっており、MV22についても使用することが明記されています。複数機のMV22、また既存のヘリを含む米軍機との複合的な訓練など、北部訓練場での訓練の激化については、沖縄県としてこれに介入する責任があります。

3)環境影響評価の在り方について
 北部訓練場の着陸帯建設については、環境アセスメント法および県環境アセスメント条例の適用を受けず、那覇防衛施設局(当時)が実施した法的裏付けのないアセスメントのみで着工に至ったものです。
 これに対して、例えば在ハワイイ米軍基地ではMV22オスプレイを含む新機種の配備と関連施設の整備にあたって実施されたアセスメントの報告書が公開されており、報道で紹介され、沖縄に対する処遇との落差に批判の声が上がったことは記憶に新しいところです[3]ハワイイでは、動植物の生態環境だけでなく、文化・歴史的環境についても詳細に検証しており、MV22単体だけではなく、現行機種との総合訓練も影響評価の対象となっています。沖縄の北部訓練場着陸帯建設で実施された根拠法令に基づかないアセスメントと比較して、その落差は際立っていると言えます。北部訓練場の着陸帯については、日米で定めた在日米軍の日本環境管理基準(JEGS)に照らして、アセスメントの是非が評価された形跡もないままです。
 沖縄県は着陸帯建設についてアセスメント条例の適用から除外することを容認しましたが、これには瑕疵があった、ないしは、その後の諸事情に鑑みてこれを見直すべきであると判断し、最低限でも県条例アセスメントを実施するよう決定することが出来ます。その根拠として、例えば以下のような観点が挙げられます。
・絶滅危惧種のノグチゲラ、ヤンバルクイナ、ホントウアカヒゲ等の生息が確認されている森に、無障害地帯を含めて直径75メートルに及ぶ規模の着陸帯を複数建設することは、着陸帯を点として見なすのではく、飛行ルートや実施される訓練形態と規模を想定した面として捉えて、アセスメントの要否を判断するべきであった。
・特に、世界自然遺産候補地選定にイニシアティブを持つ国際自然保護連合(IUCN)が、この着陸帯建設計画は絶滅危惧種・天然記念物に多大なインパクトを与えると勧告していることに対し、県として条例アセスを実施する責任があった。
N1予定地地区の工事用道路、G予定地地区から宇嘉川河口に至る歩行訓練ルートは、防衛局の自主アセスの終了後になって追加された、いわゆる「後出し」の計画であり、これは環境アセスメントの手順に違反している。
MV22オスプレイの配備と運用が隠され、評価の対象になっていない。
・工事に際して赤土の流出管理が適切に行われていない点が大きな問題となった。

4)建設工事の暴力的な強行について
 座り込み住民の裏をかく目的で深夜・早朝・週休日に作業を強行したり、抗議する市民を危険に晒す工事強行に作業員を駆り立てたりするような工事の、その公共性・正統性・労働安全基準については、県として建設業者の管理監督責任があります。

 沖縄島北部地域へこれ以上の負担強要を認めず、21世紀の時代にそぐわない海兵隊のジャングル戦闘訓練場は、無条件の閉鎖に向けて取り組むことが、県知事としての職責であると考えます。ぜひ、本件について真摯に検討して頂き、公約に掲げて、県民の信託を受けて頂きたいと考え、ここに要請いたします。




[1] 外務省「人種差別撤廃条約第9条、及び人種差別撤廃委員会手続規則第65条に基づく201239日付け人種差別撤廃委員会からの情報提供要請に対する回答」2012731日。
[2] 在日米海兵隊「MV-22の普天間飛行場配備と日本における運用のための環境レビュー最終版」(20124月);防衛省・外務省「オスプレイの沖縄配備について」2012919日。
[3] 参考:USMC, “Environmental Impact Statement for the Basing of MV-22 and H-1 Aircraft in Support of III Marine Ecpeditionary Force Elements in Hawai'i,” June 5, 2012.

20140922

知事選挙で気持ちよく投票したい、そのために今やるべきことと言えば!

今度こそ、知事選挙の公約に「高江」を、「ヘリパッド反対」を!との呼びかけが高江から届いた。http://takae.ti-da.net/e6775002.html
選挙というのは、人となりや看板ではなく、代表としての権限を与えられたら何をするのか、その約束に対して投票するべきだと思う。

北部訓練場の「ヘリパッド」「移設」という幾重にも折り重なった日米合作の詐欺に対して、沖縄県知事として可能なことは・・・

(1)県知事権限を用いて工事を即時中止すること。
(2)住民を愚弄するようなエセアセスは方法も内容もとうていアセスと呼べる水準ではなかったことを確認すること。
(3)建設の必要がないので、アセスメントのやり直しなどそもそも必要ないが、どうしてもオスプレイパッドを造りたいという具体的な声が上がるならば、まずゼロオプション付きの環境アセスメントを実施すること。
(4)北部訓練場の使っていない場所は、日米安保条約に則るならば、無条件返還を進めること。ただし、返還前に土地使用履歴を点検し、環境浄化は汚染者負担とすること。
(5)返還されたやんばるの森は、自然林として保護すること。決してジュラシックパークなどにしないこと。

こういうことではないだろうか。

20140907

20140904

あるいは「合意」という名の土俵から降りてしまうこと

沖縄タイムスに掲載いただいたシンポジウムの告知の記事の、その横にも斜め上にも「合意してない」言霊が!そのうちのひとつ、ご紹介します。
田仲康博「独立を発明する(2)」『沖縄タイムス』2014年9月4日16面。

 辺野古の海で泳いでいたら、高江の森で坐っていたら、国境線のほうが勝手に向こう側に移ってた。そんな沖縄です。それで「刑特法違反だ」なんて言われたって、どうしろと言うんでしょう。そこに居続ける市民を逮捕拘束する目的で国境線のほうが移動する。市民の権利を剥奪する根拠としての刑特法ではなく、市民権を剥奪する法の執行を目的に国境が引き直されるのです。<いま・ここ>には、好むと好まざるとに拘わらず国外追放状態が創り出されている。開かれた創造的な社会もまた・・・。