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20171012

高江でヘリ爆発炎上、北部訓練場と返還地、訓練の実態、これまでの事件事故

高江で米軍海兵隊のCH53が爆発炎上した。緊急着陸後の炎上のようで、twitterに上がっていた動画では炎上後に爆発していた状況も記録されていた。
琉球新報号外(事件地点の地図あり)

 合意してないプロジェクトは、声を大にして、訴える。
 第一に、事態の詳細が明らかになるまで、普天間飛行場の全ての航空機の飛行を停止せよ。あらゆる議員、政党は、「安全な飛行の要請」などという生ぬるさではなく、即時飛行停止を要求しなければならない。
 第二に、IUCNは、世界遺産候補地の現実を直視せよ。今週、IUCNが世界遺産登録のための現地視察を予定している。この米軍の苛烈な訓練の真横に世界自然遺産の候補地があるという茶番について、高江に気持ちを寄せる皆さんは、twitterのタグや英語による申し入れなど、自分の場所から可能なあらゆる創意工夫で、これをIUCNに伝えて欲しい。沖縄環境正義プロジェクトが素早く英文で今日の事件を知らせている。参考にして欲しい。
 第三に、そして根源的なこととして、北部訓練場は即時閉鎖し、全ての米軍は沖縄から撤退せよ。

 沖縄の皆さん。10月15日日曜日には、東村で、学習会も開催される。参加して現状を知って、つながって欲しい。

 さて、報道によれば場所は東村高江の車(くるま)集落にある牧草地という。これから詳細が明らかになると思う。明日からの会見や報道や議会答弁などを、見抜くための知識として、ここでは急いで、以下のことを確認しておきたい。

(1)北部訓練場における海兵隊航空機訓練の飛び方
(2)北部訓練場の返還部分のうち、南側の東村の返還地
(3)昨年12月に名護市安部に墜落したオスプレイの検証報告で出て来たルート
(4)北部訓練場に関連するこれまでの事件事故


(1)北部訓練場における海兵隊航空機訓練の飛び方

オスプレイの沖縄配備を前提に米軍が実施した環境影響評価が、2012年に公表された(現在でも沖縄防衛局Webサイト内にある。リンクは貼らないから検索して下さい)。いわゆる「環境レビュー」との名称で多く報道されたものだ。この報告書に添付されたAppendix C、騒音に関する調査報告書のなかに、北部訓練場における標準的な飛行域と経路の図が示されていた (p.50 Figure 5-2 Modeled Routes and Flight Areas for the NTA)。 
 上の画像はその東村部分を拡大したものだ。LZ17は、N4と呼ばれ高江集落に最も近接した新設のオスプレイパッドと同じ位置。2012-13年に大騒乱のうちに大米建設(下地幹郎氏の家族の会社)によって強硬工事され(例えば2013年2月の高江の現状blogを参照)、2015年2月に安倍内閣が、交換条件である訓練場の返還も何もしないうちから米軍への先行提供を閣議決定で行った、あのN4だ。地図の右上部にあるオレンジの線で囲まれた丸い部分は閉鎖された海水揚水発電所の八角形の貯水池だから、現場を知っている人なら、おおよその位置関係が判ると思う。
 地図中のオレンジの線は返還前の訓練場の境界線、ブルーの線はTERF(地形飛行)訓練のルート、グリーンの線で囲まれた部分が「主要移動飛行域」(Primary Transit Flight Area)だと、判例に示されている。
 そう。あたかも当然のごとくに高江の集落上が「主要飛行域」として書き込まれていることが判る。さらに、今日、CH53が墜落した現場も、このような訓練域からはみ出して飛行するのが常態化していた場所であることが判るだろう。

GoogleMapから該当する部分を切り抜いたのが上の画像だ。これを重ねるように見てみる。高江の共同店を南下した県道70号線沿いに拡がるのは高江の畑や牧場、つまり重要な生活圏だ。「集落の上は飛ばないでくれ」という切実な要望を黙殺し放擲してきた日本政府と防衛省は、今日、このような人々の生存の根拠地が、爆発炎上の現場となったことを、どのように弁明することが出来るというのか。厳しく検証されなければならない。

(2)北部訓練場の返還部分のうち、南側の東村の返還地
 左図は、沖縄環境正義プロジェクトが作成した、北部訓練場の返還と世界遺産、国立公園などの関連を示したマップだ。上の図を手がかりにしながら、2016年12月に返還された南側部分に注目してみる。グレー地に斜め線の入った箇所が返還地域、このうち南側の東海岸よりにあるのが、今回のヘリ爆発炎上地に極めて近いことに気付く。県道70号線沿いの西側が返還された訓練場跡地、東海岸側はもともと民間地で畑作地が拡がるが、上の図と重ね合わせて見れば、訓練の標準的な飛行域だと米軍が勝手に見なしていた場所とも重なることが判る。
 また、合意してないプロジェクトでも、重大な問題だとして繰り返し発信してきたTERF(地形飛行)訓練ルートの南側部分に極めて近接した場所でもある。
 北部訓練場返還に絡む環境調査の詳細が全く明らかにされないために、このTERFルートは、返還後どのように修正されたのかも知らされておらず、極めて問題があると考えてきた。そんななかで起こったのが今日の事件だった。

 北部訓練場の返還に関する詳細を、防衛局は公開していない。非常に粗雑な地図が「北部訓練場の過半の返還の概要」というタイトルのスライドでWebサイトに上がっているだけだ(気になる人は検索してみて下さい)。その地図の該当部分を拡大したのが左の図。粗々だが、ここからも今回の事件現場がどの辺りか、返還地との関係を推測することは可能だ。
 車と聞いて即座に思い浮かべたのは、このTERFルート、そして返還地との関係だった。すなわち、明日から追求すべき問題として、(A)TERF訓練に絡む事故だったのか、(B)土地の返還が無意味だったのではないか、という2点が浮上するだろう。「集落の上は飛ばないで下さい」という要請の繰り返しで済ませてはならない責任追及の、突破口のひとつになるだろうと思う。

(3)昨年12月に名護市安部に墜落したオスプレイの検証報告で出て来たルート
 併せて、昨年12月、北部東海岸の名護市安部に墜落したオスプレイの調査報告に関する報道で明らかになった訓練ルートのことも想起しておきたい。
 このルートを見たとき、沖縄島北部東海岸ならば、あのときオスプレイはどこにでも墜落した可能性があったと思った。また、最近、この北部東海岸では、殆ど海岸線上と言ってよい空域でヘリやオスプレイの低空飛行が頻繁に目撃されている。手つかずの自然が残るビーチが多いので、この夏に付近一帯の海で過ごした人の多くが、目撃しただろう。
 つい昨日のことだが、「高江の現状」blogが、国頭村安田の海岸で10月5日に目撃した体験を報告していたことも併せて想起しておきたい。

 今日の事故は、どのような訓練ルートで、どのような訓練内容のなかで起こったことなのか、有権者の付託を受けた議員は、このような予備知識をもとにして、詳細を明らかにさせなければならない。そして、「安全に飛行するよう要請」ではなく、明らかになるまでは普天間飛行場の全ての機種について一切の飛行を停止させなければならない。

(4)北部訓練場に関連するこれまでの事件事故
最後に、少なくとも、資料から明らかになっている北部訓練場をめぐる事件事故についてまとめたのが以下のPDFファイル。ぜひとも多くの皆さんに参照・活用して欲しい。今日の事故をこの表に追加更新しなければならないのかと思うと胸が苦しく怒りでどうにかなりそうだ。