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20120413

環境総合研究所から枯葉剤問題の意見書

 発表されていた!
池田こみちさんによる解説
>沖縄BDによる紹介「枯れ葉剤問題意見書~市民参加を考えるみんなに読んでほしい提言」

池田こみち「米軍による沖縄県内における枯葉剤問題への適切な対応についての意見書」環境総合研究所2012年3月14日。(PDFをここからDLできます

「4-1問題解決の道筋」から「(2)目標を達成するための方針」(pp.23-24)を以下に転載する。

(2)目標を達成するための方針(シナリオ:Scenario)
 2007年に北部訓練場で枯葉剤が散布された可能性があるという報道があったが、米国政府が事実関係を照会した防衛施設庁と外務省に対して、2007 年 7 月 13 日までに枯葉剤使用を裏付ける情報はなかったと回答し、両省庁がこれを受け入れたことによりこの問題はすぐさま沈静化した。また、2011 年にJM氏がジャパン・タイムス紙において問題提起をした後も、沖縄県内では 多くの報道がなされたにもかかわらず、東日本大震災の後だったこともあり、全国紙・主要メディアではほとんど取り上げられることもなく、極めてローカルな問題にとどまっているのが実態である。
 しかし、沖縄県内における枯葉剤問題は、過去のことではなく、現在も続いている沖縄県内の米軍基地に依拠する環境問題を象徴する問題であり、日本全体の問題として国民全体が関心を持ち、行動していくことが求められる問題である。したがって、まずは、広く情報を日本全体で共有化し、問題解決に向けた取り組みを盛り上げていく必要がある。
 また、この問題は、ヴェトナム戦争当時、その有害性について何も知らされず沖縄で枯葉剤に晒された米兵、散布実験や廃棄、投棄などに関連して直接、間接に枯葉剤など有害物質に曝露した可能性のある沖縄県民の双方にとって共通するリスクを内包しており、双方の市民レベルの連携による問題解決が可能なはずである。
 例えば、以下のような方法が考えられる。
1)沖縄における枯葉剤問題をわかりやすく日本全体に向けて発信していく。
2)枯葉剤に曝露したことにより健康被害を受けている米退役軍人やその家族などともゆるやかな連携をとりながら、情報の継続的な交流を行い問題解決に向けた協力を継続していく。
3)関係市町村が複数あり、それぞれが抱える問題が異なっているために、ともすれば市町村がばらばらな対応をしてしまう可能性があるが、関係市町村は基礎自治体として相互に連携し、沖縄県、日本政府、米政府に対して、継続的に情報の開示・提供をもとめ、その結果を広く市民と共有しながら、市民とともに闘う姿勢を明らかにしていく。
4)市民レベルでも枯葉剤問題、ダイオキシン問題についての基礎的な情報の共有化、学習の機会をつくり、情報発信を継続していく。
5)その一環として、市民の立場からの調査についても検討を行い、必要な資金調達についても経営的なセンスを持ちながら各方面への働きかけを行っていく。
6)第三者の専門家などの支援を受けながら、信頼できる情報発信に努める。
7)韓国政府の対応や、韓国に対する米政府の対応などについての情報収集を行い、韓国側の市民サイドとも可能なら連携を取り、同等の対応を日本政府、米国政府に求めていく。

 意見書は、市民による参加・問題への積極的な介入が非常に重要であることが繰り返し強調されている。それはまさに、ジョン・ミッチェルさんと沖縄BDが目下取り組んでいることで、そこからさらに一歩進むにはどうすればよいのか、その方法が問われている段階だ。この意見書は、専門家による「方法」解説書の体裁をとっているが、この意見書そのものが、上記で言われている「方法」を実践しているのでもあるのだ。市民運動、住民運動のマニュアルとして熟読し、実践そのものとして多くを学び取りたい。