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20120502

上原こずえ「CTS闘争:生存思想民衆が共有」『琉球新報』時の眼第19回

今日の新報「時の眼」は、上原こずえさんによるCTS闘争の記憶と継承。

9条に代表される平和憲法の日本への復帰の熱狂が微熱に変わり、そして零度に冷めていくような時代の沖縄に存在した近代と開発主義への批判的視点。日本の深刻な公害問題を、沖縄の姿に投影して見る視点が獲得されていたことが、現在への静かな怒りとともに描き込まれています。

また、宇井純、安里清信らのなまえをつなぎながら「生存」思想として今日の沖縄に継承されている住民運動をたどる後半部分は、そこに積み上げられた体験を思うとき共感の痛みを伴いながら、実感として確信できることばだと思います。ぜひ、多くの人たちに読んで欲しい文章です。

「守る会世話人の崎原盛秀氏によれば、金武湾闘争を通じて『日本のなかのはきだめを作り出す場所としての沖縄が見えてきた。沖縄に対するヤマトが具体的に、ひとつひとつ、民衆のなかに映像みたいに映ってくるものがあった』という。米軍占領下、常に権利獲得が課題とされてきた沖縄で、憲法の庇護の下にあると考えられてきた日本。その実像が具体的に人びとの目に映るようになったのである。」

「 では民衆にとっての『生存』思想を言葉や行動によってどう表現するか。海の浄化と豊漁を願う金武湾ハーリー、機動隊とぶつかるなか即興で詠われた琉歌。守る会はまた、代表者の決定で住民が犠牲となった沖縄戦体験から『住民一人ひとりが代表』と考え、常に多くの住民の参加のもとで討議や交渉を行い、住民自ら金武湾の汚染実態を調査した。これらのさまざまな試みを通じて培われた『生存』思想を継承してきたのが、金武湾に続く白保の新石垣空港建設反対運動や辺野古の新基地建設反対運動であり、また林道やダムの造成、高江のヘリパッド建設からやんばるの森を守る闘いなどの、数々の住民運動であった。」