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20120516

鳥山淳「抑圧生む『悪の陳腐さ』」『琉球新報』時の眼第20回

鳥山淳「今なお続く『闘争』:抑圧生む『悪の陳腐さ』」『琉球新報』連載・時の眼第20回2012年5月16日。

新報の連載「時の眼」最終回は鳥山淳さんの文章。アーレントの「悪の陳腐さ」の思考に引きつけて、今日の沖縄で起こっていることを考えるよう促している。腑に落ちるとはこのようなことを言うのではないか。県庁に、高江に、辺野古に座った人びとならば手で触れることが出来るように理解したと思う。

 「闘争は続く」という、これは昂然たる預言の書。
得体の知れない抑圧的空気と、それを覆そうとする必死の抵抗が写し込まれた比嘉豊光さんの写真とともに。

「新たな基地建設を強行するため、未明の県庁に書類を運び込んだ人々。生活をかけた異議申し立てを「妨害行為」として貶め、座り込む人々に拡声器から無感情なフレーズを浴びせ続ける人々。基本的人権にかかわる根本的な判断を回避したまま、国家権力の「権利」という倒錯した論理にお墨付きを与える裁判官。滑稽なほど凡庸な姿をした権力によって、占領下で暴力的に作り出されてきた抑圧と不条理が固定化され、繰り返され、懸命な異議申し立てが黙殺され続けている。
そのような権力に対する「闘争」は、自身の足下に巣くう「悪の陳腐さ」から我が身を引きはがそうとする意志とともに、続いていくだろう。それはかつての「闘争」と様相を異にするであろうが、怪しげな法と「合意」に抗して真の政治空間を生み出していくために、人々の直接行動はこれからも不可欠な役割を担っていくに違いない。」