skip to main | skip to sidebar

20111228

「国のあり方の根幹」を崩されることへの国民の恐怖

12月26日、新報に掲載された佐藤学さんの時評から。
「最大の問題は、こうした事態が、全く国民の間での関心を引き起こさず、ほとんどの政党、政治家も、処理済みの事案としてしか、考えていない状況ではないか。そして、それは、沖縄の米軍基地が、日本にとって具体的な安全保障政策の課題ではなく、戦後日本の国の在り方の根幹をなす存在になり、その状態を死守したいという国民の意思を明示している。
 戦後日本の外交・安全保障は、全てが米国を通じてしか考えられなかったことは、これまでにもしばしば論じられてきた。民主党が「対等で緊密な日米関係」を、政権交代に際して主要政策に掲げたのは、それを正す意志が、少なくとも野党時代にはあったのだろうが、鳩山辞任で、その意志は壊滅した。
 理屈が通らない政策が、国次元では争点にすらならないまま、金を落とす懐柔策と代執行による強行策の古典的両面作戦により、押し通されようとしている。今考えれば、鳩山政権での普天間・辺野古への関心の高まりは、「国のあり方の根幹」を崩されることへの国民の恐怖がもたらしたと考えれば、現状が理解できる。」